「定年を迎えた後の生活は、多くの人にとって新たなスタートです。しかし、安定した収入源としての年金をどう最大限に活用するかは、多くの方々にとって重要な課題です。本記事では、定年後も活動的に働き続ける一方で、満額の年金を確保するための具体的な戦略と方法を紹介します。専門家の監修のもと、年金計算の方法から、在職老齢年金の利用、さらには効果的な貯蓄戦略まで、あなたの豊かな老後のための全てを解説していきます。」
高齢期でも満額年金受給を実現しながら働くためのコツと注意点
定年退職した後に、年金を受給しながらも働き続ける方法についてご存知でしょうか。
実は、意識的にやり方を工夫すれば、高齢者でもライフスタイルを維持しつつ、満額の年金を受け取り続けながら働き続けることが可能なのです。
しかしここには、注意が必要です。
何故なら、その収入の大小によっては年金の支給額が削られてしまう可能性があるからです。
しかしご安心ください。
この記事では、定年退職後に満額の年金を受け取りつつ働き続けるための具体的な手法や、どのようにして年金金額が計算されるのかという詳細な解説を行います。
監修者である谷川昌平先生は、東京大学の経済学部にて金融を専攻し、その後株式会社Wizleapを設立しました。
その知識と経験を活かし、情報の非対称性をなくして一般の人々に金融についての知識を広めるために、”マネーキャリア”というプラットフォームを運営しています。
ファイナンシャルプランナーの資格も保有し、その専門的な視点から本記事を監修しています。
この記事では以下の内容について詳しく解説を行なっています。
1. 定年後に年金を受け取りつつ働くというスタイルの可能性とは? 2. 年金を受け取りながら働くための具体的な方法 3. 働き続けると年金がどれだけもらえるのか?その計算方法について 4. 年金受給を減らさずに働き続けるためのノウハウ 5. 年金をもらいつつ働くというライフスタイルについてのシミュレーションや具体例について この記事を読み終えれば、高齢期でも働き続ける一方で年金を確保し続ける、という自身のオプションの一つとして視野にいれられるでしょう。
年金とは、20歳以上60歳未満の人々が全て対象となる制度であり、保険料という名の支払いを60歳まで続けることが求められます。
そして、これまでの間に自身が支払ってきた年金は、主に老齢基礎年金(一般的には国民年金と称される)や老齢厚生年金(普通には厚生年金と呼ばれる)といった形で、原則として満65歳から受け取ることが可能となるものです。
ただし、特定の条件が整えば、60歳を超えてもしくは65歳を超えた後でも、年金を受け取りつつ働くという選択肢が存在します。
この選択肢こそが、「在職老齢年金」と称されるものです。
在職老齢年金を受け取るためにはどのような条件が必要なのか、また受給するに当たって特に気をつけるべき点とは何なのか、について更に詳しく解説して参ります。
年金だけでなく更なる安定した老後資金を求める方々にとって、重要な情報となるはずですので、ぜひこの先の内容を最後までご覧頂ければ幸いです。
|厚生年金の場合、その対象者の年齢は年齢が70歳未満までと定められており、これは国民年金の対象年齢である60歳未満よりも広範です。
ですので、60歳を越えてからも働くことを選ぶという場合には厚生年金への加入が可能となるわけです。
また、近年では60歳や65歳で正社員としての仕事を引退したとしても、再雇用を通じて働き続ける人々が増えてきています。
このような状況は、退職後の再雇用という選択を通じて給料が減少し、その結果として続けていた現役時代と比較して生活レベルが低下する可能性を抱える人々が増加したことを反映しています。
そのような背景を踏まえて生じたのが「在職老齢年金」という措置です。
在職老齢年金とは、60歳を超えてからも働きつづけ、その一方で年金に加入しつつも年金を受け取ることが可能となるという形の年金のことを指します。
ただし、在職老齢年金を受け取りながら働くという選択をする際には、年金が一部又は全額支給停止となる事態もありうるので、十分な注意を払うことが必要となります。
60歳以上65歳未満の方々の在聅老齢年金についてですが、毎月の労働報酬を足したものと年金の月額合計が28万円以下の場合、全額支給されます。
一方、報酬と年金の合計が28万円を超えてしまうと、その超過分に応じて年金は減額されます。
そして、65歳以上の方々の在聅老齢年金について見てみると、毎月の労働報酬と年金の月額合計が47万円以下であれば全額支給されます。
こちらも同様に、年金と報酬の合算が47万円を超える場合には、超過分に応じて減額となります。
次に、年金額の計算方法について説明します。
年金は、我々が高齢になり、定年退職して給料やその他の収入源がなくなったときに、経済的安定を保つための補助金です。
これは、一般的に20歳から始めて老後の備えとして納付してきた金額のことを指します。
しかし、60歳を過ぎても自分の収入を得るために働くという選択をする方もいます。
そのような場合、年金の支給額はある程度の所得があるかどうかによって変動します。
その具体的な計算方法を次に見ていきましょう。
その一つとして、60歳以上もしくは65歳以上で厚生年金を受け取りながら働き続ける、即ち在職老齢年金受給者の年金額計算方法を挙げてみます。
これは、以下の計算式によって算出されます。
平均月給(賞与は除く)×900×加入年数(平成15年3月まで)に加えて、平均月給×660×加入年数(平成15年4月以降)です。
これを具体例で見ると、平成15年3月までの平均月給が20万円で加入年数が20年、そして平成15年4月以降の平均月給が35万円で加入年数が15年とすると、年金額は以下のように算出されます。
20×900×20=360,000と35×660×15=346,500をそれぞれ計算し、合計して706,500となります。
これを通年で見ると70万6500円を受け取ることができ、月々にするとおおよそ5万8875円となります。
続いて、退職後も共済年金を受け取りながら勤労を続ける方々、すなわち退職共済年金受給者の年金支給額の計算方法について見ていきましょう。
退職共済年金の受給を考えている方々へ、具体的な年金支給額の算出方法をご案内します。
分かりやすく説明するため、一般的な老齢厚生年金支給額の計算式とは違うことを念頭に置いてください。
まず、「平均給料」を「一定の係数」で「加入期間」で掛けます。
平成15年3月までは平均月給を0.0075で掛け、それに加入期間を掛けます。
平成15年4月以降は平均月給を0.005769で掛け、それに加入期間を掛けます。
つまり、退職共済年金の場合、共済年金に加入している期間がより長く、またその間の平均月給が高いほど、支給額は増えていきます。
さらに、働きながら年金を満額受給する方法についても詳しく説明します。
年金の支給額は基本月額と総報酬月額相当額の二つによって決まります。
基本月額とは、60歳以上65歳未満の方の場合は加給年金を除いた特別な老齢厚生年金の月額、65歳以上の方の場合は加給年金を除いた報酬比例部分の老齢厚生年金の月額のことを指します。
そして一方、総報酬月額相当額とは、その月の標準報酬月額と、その月を含む前の1年間に支給された標準賞与を12で割った金額から算出されるものです。
在職老齢年金の制度上、働けば働くほど収入は増えますが、その代わりに貰える年金が減少する可能性があることを理解していただく必要があります。
次に、60歳から64歳までの方でも年金を満額受給できる働き方について触れます。
具体的には、働き方を変えて収入を調整するという方法です。
答えから言いますと、毎月の報酬と年金の月額の合計が28万円以下であれば満額年金を受け取りながら働くことができます。
ただし、これが28万円を超えてしまうと、在職老齢年金の一部または全額が支給停止になってしまいますので注意が必要です。
言い換えれば、60歳から64歳の方が在職老齢年金を満額受け取りながら働くためには、「毎月の報酬+年金の月額の合計が28万円以下」であることが必須条件となっています。
この点を特に覚えておいてください。
65歳以上の方々について、年金を全額受け取りながら働くやり方について詳しくご紹介します。
まず、60歳から64歳までの方々が働きながら年金を受け取る方法と同様、65歳以上の方々も所得を調整することが必要です。
なぜなら、在職老齢年金を全額受け取るためには、毎月の報酬と年金の合計金額が47万円以下であることが必要だからです。
もしも、これが47万円を越えると、在職老齢年金の一部あるいは全部が支給停止になります。
ですので、65歳以上の方々は、働きつつ「毎月の報酬と年金の合計金額を47万円以下」に抑えることで、在職老齢年金を全額受け取ることが可能となります。
また、年金がカットにならないように努力しながらも働きつつ年金を受け取るのが難しいと感じる方々に対して、あえて厚生年金から外れるという選択肢もございます。
個人事業主や非常勤役員の方々は厚生年金への加入が必須ではないため、この方法も全額年金を受け取りながら働く方法の一つと言えます。
具体的な例をあげると、現在勤めている職場と業務請負契約を結び、個人事業主として働くことになれば、厚生年金に加入することなく情勢で仕事を続けることができます。
さらに、年金については早めに受け取る、いわゆる繰り上げ受給をすることも可能です。
個人事業主となった後、繰り上げ受給による年金減額を考慮しながら、自分に適した仕事量を検討して続けていくことが可能です。
最後に、60歳から64歳、あるいは65歳以上の方々が一体どの程度の収入を得ていれば、在職老齢年金をどれほど受け取ることができるのか、合計するだけではわかりにくい場合もあります。
そんな時には具体的なシミュレーションや事例を用いた詳細な説明がお役に立つでしょう。
ここでは、働きながら年金を受け取ることが可能な「在職老齢年金」について説明します。
この制度は、その方が65歳以上であるか、それ以下であるか、またその収入がどれくらいかにより、年金の支払い額が変わることになります。
これを、具体的な例と共にシミュレーションを交えながら説明していきたいと思います。
まずは65歳以上のケースについて見ていきましょう。
この年齢の方が在職老齢年金を受け取りつつ働く場合、月々の基本的な収入と決まった賞与が47万円を超えると、年金が減額されることになります。
具体的には、基本的な収入と賞与の合計から47万円を引き、その結果を半分にした金額が、年金から減額される金額となります。
例として67歳の人がいます。
この人は月々の基本給が15万円で、標準報酬月額が20万円、そして年間の賞与が30万円だとします。
これらを合計した額は、375,000円となり47万円を下回っていますから、全額年金が支給されます。
次に66歳の人のケースを見てみましょう。
基本給が20万円、標準報酬月額が35万円、年間の賞与が30万円です。
これらを全て足し合わせると、総額は575,000円となり47万円を超えています。
そのため、この人の年金は減額され、その減額額は105,000円となります。
次に、65歳未満のケースについてです。
この年齢で在職老齢年金を受け取っているときに、もし年金が減額される場合は、それがどの程度になるかは収入によります。
具体的な計算方法は日本年金機構の公式サイトに掲載されていますので、そちらを参照してください。
以上が、在職老齢年金の受給額がどのように決定されるか、そしてその額がどのように変動するかについての説明となります。
(例1) 61歳という年齢の方が、毎月の決まった給料が10万円で、またその他の収入と合わせて1か月全体で見ると通常15万円をもらっているとします。
その上で、過去1年間に受け取った賞与の総額が24万円だった場合、支給額は次のように計算されます。
通常の月額10万円と標準報酬月額の15万円を足し合わせ、そこに1年通の賞与の平均月額(24万円を12か月で割った結果)を加えると、その合計は270000円となります。
これは規定上の減額対象となる280000円を下回っているため、年金は全額支給されることになります。
(例2) 更に、別の例として62歳の方が、基本の毎月収入が12万円で、その他の収入を合わせて通常月給が20万円である場合を考えてみましょう。
そして、過去1年間に受け取った賞与の合計が30万円だったとします。
この場合、毎月の基本収入12万円と標準報酬月額20万円を加え、更に12か月分の賞与の平均(30万円÷12ヶ月)を上乗せすると、合計は345000円になります。
この額は前述した規定上の上限額である280000円を越えるため、計算によって支給可能な年金額は修正されます。
つまり、毎月収入の12万円と修正後の収入の345000円を合計した額から280000円を引き、その結果を2で割った額が、支給が停止となる月額となります。
これは具体的には38500円となります。
参考: 働きながら年金を受け取ることは可能です。
これは正規雇用だけでなく、非正規の雇用形態であるパートやアルバイトでも可能です。
ここでは、その方法について詳しく解説します。
満額年金を受け取りつつ働くための条件は下記になります。
60歳以上65歳未満の在職老齢年金であれば、毎月の稼ぎの合計額が28万円以下の場合は全額が支給されます。
しかし、稼ぎが28万円を越えると、その分だけ年金額が減額されます。
それと同じように、65歳以上の在職老齢年金でも、毎月の稼ぎの合計が47万円以下ならば全額年金が支給されますが、稼ぎが47万円を超えると年金額が減額されます。
また、厚生年金に加入しなくても良い働き方もあります。
この場合、週の労働時間が20時間を超える場合、月給が88,000円以上である場合、1年以上の雇用が見込まれている場合、昼夜問わず学生でない場合、には厚生年金への加入が必要となります。
更に、失業保険をもらいつつ年金を受給する方法も存在します。
具体的には、60歳以上で退職した後に一定の条件を満たした場合、失業保険と年金を同時に受け取ることが可能となるのです。
ただし、基本的には失業保険を受け取るための手続きを行うと、年金の受給は停止する仕組みとなっています。
当社のサービスについてお話しします。
年金制度の一つである雇用保険には、60歳~64歳の方が対象となる「失業給付」と65歳以上の方が対象となる「高年齢雇用継続給付」という二つの種類が存在します。
これらは、あなたが失業した場合に保険料を受け取ることができる仕組みです。
失業給付を利用している場合、この期間中には老齢厚生年金が全額支給されません。
それに対し、高年齢雇用継続給付を利用している場合には、期間中に支払われる老齢厚生年金が一部停止されます。
しかし、新たな仕組みがあります。
それは、65歳になる直前に退職し、そしてその後で失業保険を受け取るというものです。
この方法を利用すれば、65歳以降でも失業保険と老齢厚生年金を同時に受け取ることが可能となります。
これはあまり知られていない情報であり、非常にレアなケースですが、失業保険と老齢年金の二重受給を可能とする大きなメリットがあります。
ここまでご説明してきたように、年金をもらいつつ働くという選択肢は存在します。
年齢や収入によって受け取ることができる金額は異なりますが、予めどの程度の金額が受け取れるかを知っておけば、より安定した生活を送ることができるでしょう。
年金をもらいながら働く具体的な方法について改めてご紹介します。
1. 厚生年金に加入し、働きながら老齢厚生年金を受け取ることが可能です。
2. 共済年金に加入し、働きながら退職共済年金を受け取ることも可能です。
3. 厚生年金から離れ、個人事業主や非常勤役員として働くことにより、特定の働き方をすれば年金を満額受け取りながら働くこともできます。
4. パートタイムやアルバイトといった働き方でも、年金を受け取ることが可能です。
それぞれには気を付けなければならない点や、注意点が存在しますので、必ずメリットとデメリットを丁寧に比較検討後、自身に最適な「年金をもらいながら働く方法」を選んで頂くことが重要となります。
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